モンセラット観光案内！黒いマリア像や圧巻の自然風景など見どころ紹介！

スペインのバルセロナ近郊、カタルーニャ州にあるモンセラットは、奇妙な形の岩々を持つ山。その断崖絶壁からの眺望は絶景ですが、それと同時にスペインではモンセラットはキリスト教の聖地として知られ、山の中腹にある修道院には“黒いマリア像”が安置されていることでも知られています。今回はそんなモンセラットの歴史や観光情報、行き方などについてお伝えします。

バルセロナの北西約60キロに位置するモンセラットは、スペイン語で“のこぎり山”を意味し、奇妙な形の岩々が連なっているのが特徴的な山。太古の昔湖だったところが地殻変動により隆起したことから、現在のような形状になったと言われています。標高は1241mにも及び、山の頂上からの眺めは絶景として多くの観光客を惹き付けています。

“のこぎり山”と名の付くモンセラットにはかの有名な「サグラダファミリア」を設計した建築家ガウディがインスピレーションを受けたとされています。言われてみるとサグラダファミリアの形状はモンセラットに似ているようにも見えてきます。またガウディだけではなく、このモンセラットの不思議な形状には多くの芸術家が影響を受けたとされています。

モンセラットはその奇妙な形状だけではなく、キリスト教の聖地としても知られ、スペイン国内外から多くの観光客を惹き付けています。山の中腹にあるベネディクト会のサンタ・マリア・モンセラット修道院付属大聖堂には“黒いマリア”として知られ、奇妙な歴史を持つことで知られるマリア像が安置されており、モンセラットはスペインでは「サンディアゴ・デ・コンポステーラ」と並ぶキリスト教の二大聖地とされています。

現在ではキリスト教の聖地として知られるここモンセラットですが、それではなぜ黒いマリア像が安置されたサンタ・マリア・モンセラット修道院付属大聖堂はキリスト教の聖地とされ、スペインのみならず多くのキリスト教徒の人々の信仰を集めているのでしょうか。その歴史は古く9世紀まで遡ります。

伝説によると、880年にモンセラットの山中から光が放たれているのを目撃した羊飼いが司祭と共にモンセラットの山を訪れると、モンセラット山中の洞窟で黒いマリア像を発見。麓の町まで運ぼうとしたものの動かすことが出来なかったため、その地に聖堂を建設したとされ、以降黒いマリア像は数々の奇跡を起こしてきたと伝えられています。ちなみにこの黒いマリア像が発見されたと伝えられる洞窟も見学することが可能です。

モンセラットのサンタ・マリア・モンセラット修道院付属大聖堂は、5～6世紀にイギリスを統一した伝説の王、アーサー王の聖杯伝説にまつわる歴史も知られています。サンタ・マリア・モンセラット修道院付属大聖堂はキリスト教最古の歴史ある修道会、聖ベネディクト会に属しており、聖ベネディクト会はアーサー王の伝説に登場しています。

聖杯とはイエス・キリストが“最後の晩餐”の際に使用したとされる杯。奇跡を起こすものとされ、アーサー王の騎士が目撃したのを最後に地上では見つかっていません。しかし、サンタ・マリア・モンセラット修道院付属大聖堂は伝説に登場する聖ベネディクト会に属するため、第二次大戦の際にナチスが遠路はるばる聖杯を略奪しにここスペインのモンセラットまで訪れた、といった歴史まで伝えられています。

モンセラットを訪れたら見逃せないのがこちらサンタ・マリア・モンセラット修道院付属大聖堂。黒いマリア像が安置されていることで知られ、キリスト教の聖地としてモンセラットが世界各国のキリスト教信者を惹き付けているのも、サンタ・マリア・モンセラット修道院付属大聖堂があるためであり、多くの観光客がここを訪れるためモンセラットまで足を運んでいます。

大聖堂の前にある中庭“アトゥリオのパティオ”はパワースポットとしても人気を集めています。中庭の中央で腕を広げて瞑想をすると不思議な力が宿ると伝えられており、実際に瞑想している方も多く見受けられます。シーズン外の観光客が少ない時に訪れるのであれば、せっかくですので瞑想してみてもよいかもしれません。

モンセラットの大聖堂の中でも一番人気はやはり黒いマリア像。大聖堂の祭壇中央奥に位置するこの黒いマリア像は、膝に幼子イエス・キリストを乗せ、右手には全宇宙を象徴する球体を持っています。黒いマリア像全体は防弾ガラスによって覆われていますが、右手と球体の部分はガラスから突き出しており、その部分に触れると願い事が叶うとも言われています。

この黒いマリア像はその名の通り、肌が黒くなっているのが特徴です。このような黒いマリア像はスペインなどの地中海沿岸に古くから存在する歴史ある教会ではまれに見かけられるものだそうです。ちなみにそのモデルとなったのは聖母マリアではなく、イエスの死と復活を見届け、さらにはイエスと結婚していたのではないかとまで言われているマグダラのマリアではないかとされています。

伝説では9世紀に見つかったと伝えられる黒いマリア像ですが、科学的検証によると12世紀のものではないか、と言われています。また黒いマリア像が黒い理由も、人の手に触れられたりろうそくのすすによって汚れたりしたため黒く変色してしまったのでは、なんてことが言われていますが、いずれにせよ真相はわかっておらず謎めいていることに変わりはありません。

黒いマリア像を見学出来る時間は決まっており、7～10時30分、12時～18時15分までの間となっており、10時30分～12時までの時間帯は宗教的催しのため見学することが出来ません。また7月1日～9月15日までの夏季は19時30分～20時までの間も見学が可能となっています。見学の際には列に並ばなければいけず、観光シーズンには長蛇の列が出来ることもありますが、平均して20分ほどで見ることが出来ます。

不思議な伝説の残る黒いマリア像が見つかったとされるのがこちらサンタ・コバ。こちらでは元々黒いマリア像が見つかった洞窟だったところに教会が建てられており、教会の中を見学できるようになっています。またサンタ・コバまで向かう道にはガウディによる作品でキリストの復活が表現されたモニュメントもあるので、そちらも併せて見学されてみてはいかがでしょうか。

モンセラットで修道院を訪れたらぜひとも見学しておきたいのがこちらエスコラニア合唱団です。ヨーロッパで最古の少年合唱団とされる歴史あるエスコラニア合唱団による合唱は1日2回大聖堂で鑑賞することが出来ますが、観光客には非常に人気のため、良い位置で鑑賞されたい場合にはかなりお早目に席を確保しなければなりません。

モンセラットの雄大な自然の神秘を感じられたい方にはこちらのサルニトラの洞窟もおすすめです。こちらは普段は扉によって閉鎖されていますが、ガイドの方の案内付きで内部を見学することが出来、洞窟内では神秘的な鍾乳洞を見ることが出来ます。またサンタ・コバよりハイキングコースを歩いて行くことが可能ですが、その際には2時間近くかかりますので、覚悟を決めて行かれた方がよいでしょう。

断崖絶壁に囲まれたここモンセラットの地に唯一ある美術館がこちらモンセラット美術館です。展示品は個人による寄付が基となっているとのことですが、モンセラットの位置するスペインカタルーニャ州出身の画家を中心に、ダリやピカソ、さらにはシャガールと欧州を代表する著名な芸術家の作品が幅広く展示されているので、山の中の美術館とあなどらず訪れてみてはいかがでしょうか。

キリスト教の聖地として信仰を集めるモンセラットですが、それだけではなく山の頂上から眺めることの出来る景色は絶景であり、観光客に人気の理由の一つとなっています。またモンセラットは1987年に自然公園に指定されており、ハイキングを楽しむための道も整備されています。

ケーブルカーに乗って訪れることが出来、モンセラットの頂上付近に位置するサン・ジュアン展望台からは絶景を眺めることが出来ます。晴れた日であれば山々の向こうにフランスとの国境沿いに連なるピレネー山脈や地中海までをも見渡すことが出来、欧州ならではの絶景を楽しむことが出来ます。

モンセラットはスペイン語で“のこぎり山”を意味するそうですが、山の頂上付近からは眼下に向かってジグザグと連なるモンセラットのこぎりのような地形を見渡すことが出来ます。山の頂上に位置するケーブルカー駅付近からはハイキングコースも複数あり、絶景を間近で見てみたい方はそちらを歩いてみるのもおすすめです。

サンタ・マリア・モンセラット修道院の方から見て、大きな十字架がぽつんと立っているところがサン・ミゲル展望台です。こちらまでは修道院からもサン・ジュアン展望台からも徒歩で片道40～50分ほどで行くことが出来、ハイキングついでに絶景を眺めたい方にはこちらの展望台を訪れてみるのもおすすめです。

サンタ・マリア・モンセラット修道院の脇にはテラスのようになった遊歩道が設けられており、そこからも眼下の絶景を眺めることが出来ます。また遊歩道の目の前、修道院の奥にもモンセラットの断崖絶壁を見渡すことが出来、そちらも絶景となっています。遊歩道の横には出店が数多く出ており、そこでお土産を購入することも可能です。

ここからは気になるモンセラットへの行き方をお伝えします。モンセラットへの行き方は電車利用とバス利用との二通りがありますが、モンセラットはバルセロナの近郊に位置しているため、断崖絶壁の上にあるといえど行き方はさほど難しくはありません。まずは電車での行き方からご紹介します。

モンセラットまで電車を利用する際の行き方は、バルセロナのスペイン広場からカタルーニャ鉄道で行くことになります。乗車券はカタルーニャ鉄道の改札前にあるインフォメーションセンターで購入出来、27.5ユーロで「Trans Monserrat」という乗車券を購入するとモンセラットまでのカタルーニャ鉄道に加え、山の頂上までのケーブルカーの券も付いてきます。ただ、モンセラットまでの電車は1時間に1本なので注意しましょう。

モンセラットまではバスで行くことも出来、ツアーで旅行をされる際にはモンセラットまでバスで行くことになるかと思います。ただ個人でモンセラットまでバスを利用して行く行き方の場合、バスは1日1往復の上、片道5.10ユーロからで季節ごとに値段が変わるとのことで少々わかりにくくなっています。ですので個人で行かれる際には、バスではなく電車での行き方をおすすめします。

モンセラットやバルセロナを観光する際、多くの観光施設を短期間で廻りたい、という方におすすめなのは「バルセロナカード」です。こちらはカタルーニャ広場の観光情報センターやエル・コルテ・イングレスというデパート内などバルセロナ各地、さらにはオンラインでも購入することが出来、数日間の有効期間バルセロナ内の美術館や観光名所の入場料を無料、もしくは割引価格で利用することが出来ます。

バルセロナカードを利用すると、美術館や観光名所がお得に見学できるだけではなく、地下鉄、トラム、バスなど公共交通機関に無料で乗ることが出来ます。お値段は3日で45ユーロ、4日で55ユーロ、5日で60ユーロとなっていますが、各観光名所までの行き方を工夫し、数日間で多くの観光名所を見学される場合であれば、お得に観光することができるのではないでしょうか。

ちなみにバルセロナ観光で美術館を見学されたい場合には「アルティケット・べーセーエネ」(ARTICKET BCN)というカードもおすすめです。こちらは30ユーロで購入すると、3か月の有効期間中ピカソ美術館、ミロ美術館、アントニ・タピエス美術館、カタルーニャ美術館、バルセロナ現代美術館、バルセロナ現代芸術センターの6つの美術館を無料で見学出来るため、美術館をゆっくり見学されたい方にはこちらもおすすめです。

キリスト教の聖地として古くから各国のキリスト教徒の信仰を集めているだけではなく、山の頂上から絶景を眺めることが出来ることでも知られているモンセラット。絶景を見つつ、キリスト教にまつわる不思議な歴史と伝説の真相を探るべく、バルセロナを観光される際にはモンセラットも併せて訪れてみてはいかがでしょうか。