猪年に禅居庵(摩利支天堂)へ
2019年の干支は猪ということで、猪のグッズなどを購入しているという方もいるのではないでしょうか。実は京都には猪にゆかりがあるお寺や神社があり、その1つが禅居庵(摩利支天堂)です。そこでこの禅居庵(摩利支天堂)についてアクセスや由緒、そしてご利益やお守り、御朱印などの情報について紹介します。
禅居庵(摩利支天堂)とは
禅居庵(摩利支天堂)というのは京都五山第三位、俵屋宗達の「風神雷神図」で有名な建仁寺の塔頭(たっちゅう)寺院です。正式名称は「禅居庵」なのですが、境内にある摩利支天堂が一般公開されていることから、摩利支天堂の名前の方がよく知られています。
禅居庵は宝泉寺(石川県金沢市)、徳大寺(東京都)と並び、「日本三大摩利支天」の1つに数えられており、そのご利益を期待して多くの人々が参拝に訪れています。
禅居庵(摩利支天堂)はどこにある?
禅居庵(摩利支天堂)があるのは京都市です。住所としては京都府京都市東山区ですから、京都の東部になります。位置としては大和大路通と八坂通がぶつかる角地の所で、建仁寺の境内の中では南西の角、大和大路通をはさんで向かいには京都ゑびす神社があります。京都観光で有名な花見小路も近くです。
禅居庵(摩利支天堂)へのアクセス
それでは、禅居庵(摩利支天堂)へのアクセスを紹介します。先ほども述べたように、禅居庵(摩利支天堂)は建仁寺の境内にあり、花見小路も近くです。ですからアクセスは比較的便利で、電車もバスも利用できます。
電車を利用してアクセスする場合、最寄り駅は2つあります。1つめは京阪本線「祇園四条」駅、もう1つは阪急京都線「河原町」駅です。大阪方面から来る方ならば、梅田から阪急1本で河原町駅まで来ることができるので、この路線を利用すると楽でしょう。駅からは祇園四条駅の方が近く、徒歩で7分ほど、河原町駅からは10分ほどです。
京都観光に来る方で、京都駅を起点にしてアクセスしたいという場合、京阪本線も阪急京都線も京都駅を通りません。そのため電車もしくはバスを利用するということになります。京都駅から電車でアクセスする場合は、市営地下鉄烏丸線に乗り、「四条」駅まで行くと、阪急京都線の「烏丸」駅と接続しています。
バスを使ってアクセスする場合は、最寄りバス停がこちらも2つあります。1つめは「清水道」のバス停で、もう1つは「東山安井」です。実は東山安井に停まるバスはすべて清水道を通るのですが、禅居庵(摩利支天堂)に近いのは東山安井です。ですから東山安井に停まる場合はこちらで、停まらない場合は清水道で降りるといいということになります。
問題は京都駅から禅居庵(摩利支天堂)に行く場合、電車とバスとどちらがおすすめかということです。バスの場合は京都駅から一本で来ることができるのですが、観光ルートを通ることもあって渋滞や混雑の可能性が高いという問題があります。観光シーズンに行く場合は手間がかかりますが、電車でのアクセスをおすすめします。
なお、禅居庵(摩利支天堂)には駐車場がありません。そのため車でアクセスする場合は、近隣の駐車場を探して利用するということになります。建仁寺には駐車場がありますが、建仁寺を拝観する場合は1時間無料となるものの、建仁寺と禅居庵(摩利支天堂)を1時間で見るというのは時間的に厳しいかもしれません。公共交通機関でのアクセスをおすすめします。
禅居庵(摩利支天堂)は建仁寺の塔頭寺院
さて、先ほど禅居庵(摩利支天堂)は建仁寺の塔頭寺院と紹介しました。塔頭というのは禅宗寺院で祖師や高僧が亡くなった際に、その徳を慕ってそばに作った塔や庵などのことを言います。
建仁寺は京都五山の3番目に位置する寺院であり、開祖は臨済宗を開いたことで有名な栄西です。そのため塔頭の数も多く、境内も非常に広いものでした。しかし明治の廃仏毀釈で多くの塔頭が失われました。現在は14の塔頭があります。禅居庵もその残った塔頭の1つです。
ちなみに、禅居庵の向かいにある京都ゑびす神社は、もともとは建仁寺の鎮守社(寺院に附属して建てられた神社)でした。ゑびす神社が禅居庵、つまり建仁寺のそばにあるのは、そういういわれがあるからなのです。
禅居庵(摩利支天堂)の由緒
それでは禅居庵の由緒について紹介しましょう。先ほども述べたように禅居庵は建仁寺の塔頭寺院ですが、創建されたのは1333年のことで、建仁寺の第23世大鑑清拙正澄禅師によります。
大鑑清拙正澄禅師は中国の僧侶で、鎌倉時代の末期に日本にやってきました。そして北条氏の庇護を受けて南禅寺や建長寺など、五山派の寺院の僧侶を歴任しました。建仁寺の住持になったのは1333年のことです。
大鑑清拙正澄禅師は大鑑派と呼ばれる一派の祖となった人物であり、禅居庵はその拠点となりました。そしてその拠点となった場所には摩利支天が鎮守として安置されることが多いとされています。
ちなみに禅居庵そのものの御本尊は聖観音ですが、こちらは非公開となっています。摩利支天堂には摩利支天が祀られていますが、こちらは本堂の御本尊と別に境内に祀り、天変地異などから境内を護る役目をする守護神です。禅宗寺院ではこのようにすることで、仏法の興隆を願うのだそうです。
なぜ禅居庵を摩利支天堂というの?
ではなぜ、禅居庵のことを摩利支天堂と言うのでしょうか。先ほど述べたように摩利支天堂は禅居庵の境内にある、摩利支天を祀ったお堂です。このようにお堂があるお寺というのはとくに珍しいわけではなく、例えば東大寺でも三月堂や二月堂などがあり、東大寺三月堂などと呼ばれています。
しかし禅居庵の場合、禅居庵そのものは一般公開されておらず、摩利支天堂だけが一般公開となっています。そのため摩利支天堂という名前が一般的によく知られているのです。
禅居庵(摩利支天堂)は猪のお寺?
さて、2019年は亥年ということで、猪にゆかりがある寺社に参拝に行こうという方も多いのではないでしょうか。京都には猪にゆかりがある神社として、まず和気清麻呂を祀る護王神社が知られています。
和気清麻呂は、道鏡と対立し、宇佐に配流されるのですが、その時に道鏡が放った刺客に襲われます。するとたくさんの猪が現れて、清麻呂を救いました。この伝説から狛犬の代りに狛猪が置かれるなど、猪がたくさん置かれており、「いのしし神社」として亥年にはたくさんの参拝客が訪れます。
一方、猪にゆかりがある寺院として知られるのが禅居庵です。後で詳しく紹介しますが、禅居庵にはたくさんの猪が置かれています。さらにお守りなどの授与品にも猪があしらわれています。
摩利支天と猪の関係は?
ところで、摩利支天堂と猪にはどんな関係があるのでしょうか。そのことを知るためには、まずは摩利支天とはなにかということから紹介しなければなりません。
摩利支天というのは仏教の守護神の1つです。原語は太陽や月を意味しており、陽炎を神格化したものとされています。そのため実体がなく、焼けたり濡れたり、傷ついたりしないものであり、そのことで特に武士に摩利支天信仰が広まりました。
この摩利支天は猪を眷属として従えていて、禅居庵では七頭の猪の上に摩利支天が座しているとしています。眷属と言うのは神様の一族ということなので、摩利支天を祀る禅居庵にはたくさんの猪がいるということになるのです。
ちなみに摩利支天堂の摩利支天ですが、こちらも基本的には秘仏で、ふだんは拝観することができません。しかし毎年10月20日の縁日の時だけは御開帳が行われ、摩利支天を拝むことができます。後で述べるように摩利支天にはご利益があるので、可能ならばこの日にぜひ摩利支天をこの目で確かめてみましょう。
禅居庵(摩利支天堂)で猪探し
摩利支天と猪の関係がわかったところで、さっそく摩利支天堂の猪探しをしてみましょう。たとえば参拝の時に手などを清める手水鉢では猪の口から水がでていますし、本堂のところにも猪のコレクションがずらりと並べられています。さらに知らないとそのまま通り過ぎてしまうのですが、屋根の下にある彫刻にも、よく見ると猪がいるのです。
そして、ここで特に人気があるのがお堂の猪が置かれたところです。ここには大きな猪があるのですが、足元に小さな猪が卵のように並べられています。この卵のようなかわいらしい猪は、摩利支天堂で授与されているおみくじである「亥みくじ」なのです。
この亥みくじは陶製で、中におみくじが入っています。もちろんこの猪は持ち帰ってもいいてすし、ここに一緒に置いて飾ってもいいのです。自分の猪を置いて、SNSなどに投稿するという方も多いようです。
さらに、後で詳しく触れますが、お守りや絵馬と言った授与品にも猪がたくさん使われています。次に述べるように摩利支天にはご利益があるので、参拝した後で、猪の絵馬に願い事を書き、お守りを授与していただくのもおすすめ参拝コースです。
禅居庵(摩利支天堂)のご利益は?
さて、それでは摩利支天のご利益について紹介しましょう。先ほど述べたように、摩利支天は陽炎であり実体がない、つまりけがをすることがないということで、戦勝祈願のご利益があると言われ、多くの武士によって篤く信仰されました。
たとえば有名な毛利元就は、摩利支天を旗印に使っていましたし、山本勘助や前田利家なども摩利支天を信仰していたと伝えられます。また楠木正成は兜の中に摩利支天の小さな像を入れていたと言われています。
このことから、摩利支天は現在では開運勝利のご利益があると言われています。例えば受験生やスポーツ選手などは他人にはもちろん、自分に「勝つ」ことが必要です。このような方々には開運勝利のご利益がある摩利支天はぴったりの神様です。
ちなみに、摩利支天堂に参拝する場合は、そのご利益が得られる方法があります。それは、摩利支天堂の周囲を回りながら願い事を唱えるということです。摩利支天の周りは、ぐるっと回れるように通路があるので、そこを願い事を唱えながら回ってみましょう。きっとご利益か得られるでしょう。
禅居庵(摩利支天堂)でお守りを
禅居庵(摩利支天堂)に参拝したら、お守りなども授与していただきたいと考える方も多いのではないでしょうか。先ほど触れましたが、ここのお守りなどの授与品も猪があしらわれたものが多くあります。たとえば絵馬には猪が描かれ、開運勝利のご利益が得られるということで奉納するだけではなく、持ち帰る方も多く見られます。
お守りもまた、猪がモチーフとして使われています。ふつうのお守りに猪が刺繍されているもの、お守りそのものが猪の形になっているもの、布製のものから陶製のものまでさまざまです。お守りは肌身離さず持ち歩くものなので、自分が持ちやすい、好みのお守りを選ぶのがおすすめです。
禅居庵(摩利支天堂)の御朱印は?
では、禅居庵の御朱印情報を紹介します。建仁寺の塔頭寺院ということで、建仁寺を参拝した折にこちらにも参拝し、両方御朱印をいただくという方もいるかもしれません。
禅居庵そのものは非公開なのですが、摩利支天堂は一般公開されているため、御朱印もいただくことができます。中央に「摩利支尊天」という御朱印が捺され、「奉拝」「開運勝利」「摩利支尊天」「洛東建仁寺禅居庵」と日付が揮毫されます。
なお、拝観そのものは年中無休でできるのですが、参拝の受付時間は9時から17時までとなっています。御朱印も授与所でいただくことになるのですが、こちらも参拝の受付時間で授与されるということになります。ですから御朱印は時間を確認していただくようにしましょう。
また、禅居庵そのものの御朱印帳は特に用意されていないようなので、もし御朱印帳がないのであれば建仁寺に参拝して建仁寺の御朱印帳をいただいてから参拝するか、もしくは書き置きの御朱印があるかを尋ねてみるとよいでしょう。
禅居庵(摩利支天堂)の周辺観光スポット
それでは禅居庵(摩利支天堂)の周辺観光スポットを紹介します。禅居庵がある周辺は建仁寺や京都ゑびす神社などの寺社も多く、そのあたりと組み合わせて観光をする方が多いようです。建仁寺には有名な「風神雷神図屏風」などの見どころが多く、ゆっくりと時間をとって観光したいところです。
また、花見小路や祇園などの観光と組み合わせるのも便利がよく、人気が高い観光ルートとなります。徒歩で移動できるので、いわゆる京都らしい雰囲気を感じながら散策するのもよいでしょう。河原町駅周辺は京都の中心街ですから、そこでお土産などをさがすのもおすすめです。
一方、2019年は亥年ということで、猪にゆかりのある護王神社にも参拝したいと言う場合ですが、建仁寺周辺から護王神社へはバスでアクセスすることが可能です。しかし先ほども述べたように混雑する可能性があるので、心配なら電車を利用するのがよいでしょう。
電車ならば、河原町から阪急に乗り、先ほど紹介した烏丸駅で地下鉄烏丸線に乗り換え、丸太町駅で下車すると徒歩で護王神社まで行くことができます。
禅居庵(摩利支天堂)で開運のご利益を!
禅居庵は開運勝利の神様、摩利支天の力が得られるということで、特に亥年にはおすすめのお寺です。可能ならば年明けの早い時期に参拝して、そのご利益で新しい年を勝利で切り開いていきたいところです。ぜひ禅居庵に参拝し、摩利支天堂の周りを回って、猪のパワーを存分に取り入れましょう。
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