イタリアのビザの特徴
日本人観光客にも人気のイタリアですが、観光や留学、仕事関係など、訪れる目的や日数によってはビザが必要になることがあります。出発の90日前から申請手続きはできますが、ビザを申請するための必要書類なども種類が多く、審査にも時間がかかるため注意が必要です。ビザが必要と分かった時点で早めの対策を取りましょう。
短期旅行ならビザなし
基本的に、数日間のイタリアツアーに参加するというような観光目的の滞在の場合には、日本国籍所有する人ならビザが必要ありません。ツアー限定ではなく、個人旅行も含めたすべての観光目的、知人訪問に際し、90日以内の短期滞在の場合にはビザ申請をする必要はありません。
ビザが必要になるケース
観光目的の短期滞在にビザが不要になるというのは、日本とイタリアとの友好関係において成立しているビザ免除の協定が結ばれているためです。
ただし、このビザ免除の取り決めについても、例外はあります。頻繁にヨーロッパを訪れる場合、その合計のヨーロッパ域内滞在日数が約半年間(180日)のうち90日までビザ免除するというEUの協定に引っかかってしまうためです。
シェンゲン協定とは?
ヨーロッパの多くの国々が加盟するEUでは、域内での人や物の自由な行き来を可能にする「シェンゲン協定」というものを結んでいます。EU加盟国以外の国から訪れる旅行者に対して、最初にEU域内シェンゲン協定加盟国のうちのひとつで入国審査をパスしたなら、あとは加盟国以外へ出国するときまで入国・出国審査なしに自由に行き来できるのです。
そんな自由度の高い移動方法を可能にしてくれたシェンゲン協定ですが、ここに、180日の期間内での90日までという規制がかかっているのです。
イタリアのビザの基本
冒頭にもお伝えしましたが、イタリアを訪れる目的が観光か知人訪問以外の場合は、ビザの申請が必要となります。イタリアは、電子ビザではないため、書類を揃えて在日大使館または領事館に提出する必要があります。
必要書類の種類も本当に多いため、それぞれの目的別に応じて、簡単にまとめてみましたので、ご参考になさってください。
申請先は在東京イタリア大使館・在大阪イタリア総領事館
現在、日本国内にはイタリアビザ申請の窓口は2か所あります。在東京イタリア大使館かもしくは在大阪イタリア総領事館のどちらかへの申請となりますが、どちらでも良いというわけではありません。
静岡県以東のお住まいの方は、東京の大使館がイタリアビザ申請の窓口となります。愛知県以西のお住まいの方は大阪の総領事館です。
出発90日前から申請できる
申請手続きは、出発日の90日前から始めることができます。すべてを早めに用意してしまえばいいというものではないので、順を追ってひとつずつ丁寧に確認していくことが大切です。
東京の大使館でも大阪の領事館でも、事前にwebサイトでの予約をしなければならないため、まずはビザ申請のために窓口へ行く日を予約しましょう。
イタリアのビザの種類「観光ビザ」
実は一般的にあまり知られていないことなのですが、海外旅行する場合、基本的にはすべての場合においてビザというものは必要なのです。ただ、日本の国として、日本人という国民としての信用度があることで短期の観光の場合においてはビザ免除の対象となっている国が世界にはたくさんあります。イタリアはまさにそのビザ免除の対象となっています。
信用とはどういうことか。要するに、観光と偽って勝手に働いたり住み着いたりはしない、という信用です。つまり、日本のパスポートを持っている人は、イタリアで短期の観光する場合はビザが必要ないのです。
事前のビザ取得が不要
事前にビザ申請の必要なく観光できる、ということは、私たち日本人にとっては身近で普通のことに思われがちですが、実はそういったこれまでの世界とのつながりから持ちえた素晴らしい恩恵なのです。イタリアに限らずですが、事前ビザ申請が不要なことについてもよく考えた上で、素晴らしい旅行を楽しんで頂きたいものです。
イタリアのビザの種類「就労ビザ」
さて、観光ではない場合はどうでしょうか。もちろん、ビザの申請が必要ということになります。最初にご紹介するのは、就労ビザです。
イタリアで働く場合、この就労ビザが必要となります。就労のタイプごとに種類が分かれいるのですが、多くの場合は日本の企業に勤めている人が現地支社等で働くいわゆる駐在員などは「就労ビザ」を取ることになります。
その他にもイタリアで起業する方、自由業(自営業、士業等)やオーナー社長、EUの複数の国々をまたいで就業する専門職(医師、科学者、エンジニア、ジャーナリスト等)の方についてはそれぞれ異なるビザが必要となり、必要書類も異なります。詳細はイタリア大使館の公式ホームページ等をご参考にご確認ください。
必要書類
就労ビザを申請する際に必要な書類は、申請用紙、写真(35x45mm、背景は白)1枚、パスポート(残存有効期間が帰国予定日+3か月必要、残未使用ページ2ページ以上)、パスポートのメインページコピー、申請日1週間以内の住民票1通、移民統合事務局からの労働許可(直接申請先大使館または領事館へ届く)となっています。
なお、以降の記述に関して、ビザ申請用の写真のサイズやパスポートの残存有効期間については同様の条件となるため省略致します。
イタリアのビザの種類「家族ビザ」
イタリア駐在が決まった本人は先にご紹介した「就労ビザ」を申請するのですが、そんな駐在員と同行するご家族のみなさんも、長期滞在するためにはビザが必要となります。そんな駐在員の家族のためのビザが「家族ビザ」なのです。
よく勘違いされるのが、イタリア人と結婚した日本人とその子供という家族の場合です。EU国籍保持者の家族は、ビザの取得が免除されており、必要ありません。
必要書類
家族ビザ申請の必要書類は、申請用紙、写真1枚、パスポート、パスポートのメインページコピー、申請日1週間以内の住民票1通、戸籍謄本などの主ビザ保有者と家族関係が公的に証明できる書類(アポスティーユ証明、イタリア語訳が必要)、移民統合事務局からの家族帯同・呼び寄せ許可(直接申請先大使館または領事館へ届く)となっています。
なお、18歳未満の未成年の家族ビザを申請する場合、本人とその両親が一緒に大使館・領事館へ行くことになります。どちらか一人でも一緒に行くことができない場合、親権者の同意書がさらに必要となります。
イタリアのビザの種類「商用ビザ・会議出席のためのビザ」
この種類のビザに関しては、日本国籍の人には無査証滞在が認められています。イタリアに90日以内の滞在をする場合、観光、知人訪問、商用、会議出席、外交、公用の目的に限り、ビザ免除の対象となるのです。ただし、入国日から8日(土日祝を除く)以内に現地の警察に届け出なければなりません。
イタリアにいる間ホテルに宿泊する場合には、ホテル側が用意した所定の用紙に記入することで警察署への届け出不要となることもあります。チェックインの際に、必ずご確認ください。
必要書類
ビザ申請が不要なため、必要書類、というものはありませんが、所持しておいた方が良いと思われるものをご紹介しましょう。当然のことですがイタリアは海外ですからパスポートは所持していますので、それ以外です。
帰国便の航空券、ビザ申請時と同サイズの写真を1枚、パスポートのメインページコピー、滞在日数分の海外旅行傷害保険、滞在費用の証明等、となります。あくまでも念のためであって、必ずしも必要ではありませんが、追加書類の提出を求められた際などに便利と思われるものをピックアップしておきました。
イタリアのビザの種類「就学ビザ」
先ほどまでは仕事関連の方へ向けたご案内となっておりましたが、ここからは主に留学をお考えの学生さん向けにご紹介します。
イタリアの就学ビザはいくつもの種類に分かれており、それぞれに必要書類が異なります。留学予定先の学校の種類や留学の目的によって違ってきます。また、未成年の場合はさらなる追加条件もあります。
共通の必要書類
就学ビザの申請に必要な書類として、ビザの種類にかかわらず共通の必要書類をご確認ください。
申請用紙、写真1枚、パスポート、パスポートのメインページコピー、申請日1週間以内の住民票1通、住居の証明(ホームステイ受入承諾書、賃貸契約書、入寮許可書など)、留学資金の証明、海外旅行保険の以上8点です。
留学資金の証明については、自己資金か親からの資金提供か、で必要書類が異なりますので、詳細については大使館公式ホームページ等でご確認ください。また、海外旅行保険は、滞在日数全期間をカバーでき且つ医療費無制限の海外旅行保険の契約書原本とコピーが必要です。
語学留学の場合
語学留学の場合、先ほどご案内した共通の必要書類のほかに、入学許可書(授業内容や期間、レベル等が明記されていて、校長の署名が入った正式なもの)の原本とコピー、留学先の学校が教育機関として認可されていることがわかる書類、学校への支払い完了を示す書類が必要です。
職業訓練コースの場合
職業訓練目的の留学の場合には、共通の必要書類と先にご紹介した語学留学同様条件の入学許可書原本とコピー、学校が教育機関として認可されていることがわかる書類、学校への支払い完了を示す書類と、さらにプラスして職業訓練校として州に認可されていることを証明する書類、日本で同じ分野での専門教育を修了したことを証明する書類が必要です。
研修の場合
レストランやホテルでの研修、インターンシップなどがこのビザの対象となってくるのですが、関係当局の認可を受けたプロモーターを通し、あらかじめ許可を受ける必要があります。必要書類は上記の共通必要書類のほかに州の認可を受けた研修計画書、研修の主催者と研修施設との間で取り交わされた協定書が必要です。
大学の場合
イタリアの大学に留学するためには、まずは受験しなければなりませんが、大学へ直接出願することはできません。在東京イタリア文化会館というイタリア政府機関を通して出願します。
このビザに関しては、あらかじめ在東京イタリア文化会館の留学者リストに掲載されていることが前提とされています。共通の必要書類のほかに、入学許可書の原本とそのコピーが必要となります。
なお、大学同士の交換留学制度を利用した留学の場合は、さらに日本の大学からイタリア大使館・総領事館へ宛てた英文ビザ発給依頼書、両校の間で取り交わされた交換留学協定書のコピーが必要です。
未成年者の交換・文化プログラムの場合
未成年者の留学の場合は、本人だけでなく親権者に関する書類も必要です。共通の必要書類と、イタリアの学校からの入学許可書原本とコピー、親権者の渡航同意書(公証役場で作成、アポスティーユ証明が必要)、親権者のパスポートコピー、自国政府が発行したアポスティーユ証明付きの出生証明書、戸籍謄本(翻訳証明、イタリア語訳添付)が必要です。
なお、大使館・総領事館へ未成年のビザを申請する際には、本人とその両親が揃って申請することが必要となります。
高度な研究および文化活動を行う場合
日本ですでに大学の教職に就いていたり、研究機関に正規の研究職として所属していることが前提とされるのがこちらのビザです。イタリアの大学や研究機関において、報酬を得ずに研究活動などを行う(サバティカル)際のビザで、共通の必要書類のほかにも書類が必要となります。
また、日本の所属機関発行の英文のビザ発給依頼書(イタリアでの受け入れ先、研究目的・期間、給与が保証されるサバティカルである旨を明記したもの)とイタリアの受け入れ先からの受入れ承諾書(受入れ期間、無報酬である旨を明記したもの)が必要です。
イタリアビザを取得してでも学びたい【イタリア語】
イタリアビザの申請には様々な書類が必要ですし、時間も手間もかかります。ですが、その手間をかけてでもやはり時間をかけて学びたい、得たいイタリアでの貴重な経験もあるのです。
イタリア語は、基本的にイタリア国内と隣国スイスの一部でしか話されていません。言語人口は少ないですが、逆に言えば、イタリアを旅行した際にイタリア語で話しかけると、やはりその国の人は嬉しくなるというものです。
文化的にとても魅力にあふれたイタリアで、イタリア語を学び、イタリア語のまま書物や文献を読めるようになればさらにその文化に精通していく入口となることでしょう。
イタリアビザを取得してでも学びたい【イタリア料理】
イタリア料理に限らずですが、料理とはとても奥が深いものです。イタリア料理においても、地方によって特徴が異なり、独特の素材の扱い方や調理方法など、学ぶべきものは多岐に及びます。「本場イタリアで学んだイタリアンシェフ」を目指すのであれば、やはりビザをとってでもじっくり時間をかけて学び、修行してみたいものです。
イタリアビザを取得してでも学びたい【ファッション】
世界的に有名なファッションブランドがイタリアには多くあります。GUCCI、PRADA、FENDI、BVLGARI、VALENTINO等。少し挙げただけでも錚々たる顔ぶれです。長い歴史と培われた技術、洗練されたデザインなど、学ぶところは数え切れません。ファッションの最先端と歴史を一緒に学べる素晴らしい環境がイタリアにはあります。
イタリアビザを取得してでも学びたい【音楽】
音楽の世界もまた、奥が深く長い歴史を持ちます。ヨーロッパは現代音楽にも通じる様々な音楽の基本を築いてきた地です。イタリアでは日常的に上演される本場のオペラから学ぶ声楽や、その長い歴史とキリスト教を主体とする宗教音楽等、様々な器楽から声楽に渡って学ぶことができる世界有数の音楽院が各地にあります。
イタリアへ観光や留学する場合ビザが必要かどうかチェックしよう!
ここまでイタリアのビザの種類や申請方法など、様々な情報をご紹介してまいりましたが、いかがでしたか?豊かな伝統文化や美しい街並み、陽気な人々など、魅力に溢れたイタリアです。手間をおしまず、しっかり必要書類等ご確認ください。あなたの旅が素敵なものになりますように!
また、ビザ申請に関する情報は随時変わりますので、申請前に必ずイタリア大使館にお問い合わせするようにしてください。
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