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バルビゾン派と呼ばれる画家たちを魅了したパリ郊外の村の魅力とは?

バルビゾン派と呼ばれる画家たちを魅了したパリ郊外の村の魅力とは?
投稿日: 2017年8月25日最終更新日: 2020年10月7日

歴史的な建造物や美術館観光などで、世界中から多くの観光客が訪れる花の都・パリ。多くの美術作品が生まれたパリで、19世紀中頃にバルビゾン派と呼ばれる絵画グループがあったことをみなさんは知っていますか?バルビゾン派の絵画と共にパリ郊外にある村の魅力をご紹介します。

自然豊かな“画家たちの村”バルビゾン見出し

画家たちの村と言われているバルビゾン村は、パリから南に60kmの郊外に位置しており、世界中から多くの観光客が訪れています。首都のパリとは一味違った観光ができるバルビゾンをより楽しめるように、様々な角度からバルビゾン村をご紹介したいと思います。

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バルビゾン派と呼ばれる画家たち見出し

バルビゾン派とは、1830年から1870年頃にかけてパリ郊外に位置するバルビゾン村(Barbizon)やその周辺に多くの画家たちが滞在・居住をし、風景画や農民画を描いたグループのことを指します。

テオドール・ルソーやカミーユ・コロー、ジャン=フランソワ・ミレーなどもこのバルビゾン派に入っていて、バルビゾン村のすぐ近くに自然豊かなフォンテーヌブローの森があることからフォンテーヌブロー派と呼ばれていたり、画家たちが集まりだした年号をとって1830年派とも呼ばれています。

ルソー、コロー、ミレー、の他にコンスタン・トロワイヨン、ディアス・ド・ラ・ペーニャ、ジュール・デュプレ、シャルル=フランソワ・ドービニーの7人で「バルビゾンの七星」と呼ばれています。バルビゾン村を訪れたあらゆる画家をバルビゾン派と呼ぶこともあり、総勢100人以上の画派と言われています。それぞれ独自の手法で作品が描かれており、画風をもってバルビゾン派としてひとまとめにするのは難しいです。

バルビゾン村について見出し

バルビゾン村はフランスの首都パリ郊外に位置するフォンテーヌブローの森のそばにある小さな村です。村の周りは森と平野に囲まれていて美しい自然や風景が広がっており、ルソーやミレーなど多くの画家がこの地で創作を行ったことからバルビゾン派の聖地として世界中から多くの人々が訪れています。

現在は観光地として有名な村ですが、約150年経った今でも多くの画家が集まった当時の面影を感じる石造りの家が立ち並ぶ素朴な街並みを見ることができます。自然の美しい風景が広がるフォンテーヌブローの森とは1本の道で結ばれており、さらには生活費も安く、村人も親切に生活を助けてくれたこの村は、当時の画家たちにとって理想的な場所だったようです。

バルビゾン派が生まれた時代背景見出し

19世紀前半、絵画の世界では歴史画が常に高い地位にあり、歴史画を引き立てるために風景画に工夫をこらすという風潮があったようです。このような宗教的・歴史的な画題の中で理想化された風景を描くという教育に失望した画家たちが、野外での自然観察を重視し、それまで画題になることのなかったフランス国内の森や渓谷、田園風景などの自然風景を描く風潮が生まれていきます。

こうような傾向が生まれた要因として、19世紀にパリなど都市部で環境悪化が生じていたことも挙げられています。パリ郊外にあるフォンテーヌブローの森は、そんな画家たちが画題を見つけるのに最適の場所でした。同時期にチューブ入りの絵具が発明され、外で絵を描くことが容易になったことや、パリ‐リヨン間の鉄道が開通し往来がし易くなったことも手伝って、バルビゾンは画家の集まる村になっていきます。

バルビゾン村の観光スポット【ガンヌの宿】見出し

ここからはバルビゾン村の観光スポットを紹介したいと思いますが、まずバルビゾン村に行った際に必ず訪れたいのが、多くのバルビゾン派の画家が泊まったガンヌの宿です。画家たちのたまり場になっていたガンヌの宿は、家を手に入れる前のルソーやミレーも宿泊しています。

現在は市立バルビゾン派美術館になっており、当時画家たちが宿泊代の代わりに残していった絵など、バルビゾン派に欠かせない絵を見ることができます。また壁にも当時の画家が描いた絵が残っており、雨の日に宿で暇を持て余した画家たちが壁や家具に絵を描き続けていたようです。

バルビゾン村の観光スポット【ミレーのアトリエ】見出し

ジャン=フランソワ・ミレーは1849年に家族を連れて、パリ郊外のバルビゾンに移り住みます。ミレーは一軒家を手に入れ、その離れをアトリエとし多くの作品を描きながら生涯をこの家で過ごします。「晩鐘」や「落ち穂拾い」などもこのアトリエで描かれたようです。

ミレーのアトリエは当時の姿のまま現在も残されており、「晩鐘」「落ち穂拾い」などと共に多くの作品が展示されています。またアトリエの隣にあるミレーの家は、現在ジャン=フランソワ・ミレー記念館になっており、こちらでもミレーのデッサンや版画、当時の芸術家たちの写真がたくさん展示されています。

バルビゾン村の観光スポット【ルソーの家】見出し

1836年に初めてバルビゾンに長期滞在したルソーが、バルビゾンに移住したのは1847年になります。一軒家を手に入れたルソーは離れの納屋をアトリエとして多くの作品を制作しました。週末になると多くの友人が集まったルソーのアトリエは、20世紀末以降、村の礼拝堂として使われています。

現在、ルソーの家とアトリエはバルビゾン派美術館分館と礼拝堂として残っており様々な名画が展示されていますが、ルソーの没後いろいろと増改築が行われているようで、ルソーが暮らした当時とは外観も変わっているようです。

ミレーが描いたバルビゾン見出し

バルビゾン派の中でも、ミレーは大地の風景と共に農民の姿を崇高な宗教的感情を込めて描き、写実主義を代表する画家になります。若いころデッサンや模写の他に、聖書や神話など画題となる古典文学を学んでいたミレーは、農民画の中にも宗教的な意味合いを込めて作品を制作しています。

ミレーが絵に込めた宗教的な意味を知ると、より深くミレーの想いを感じることができます。ミレーは屋外で画題を見つけた後、アトリエの中で記憶を元に絵を描く手法を取っていたようです。「晩鐘」「落ち穂拾い」の他に、1933年に岩波書店のシンボルマークとして採用され今日まで用いられている「種をまく人」もこのバルビゾンで描かれました。

ルソーが描いたバルビゾン見出し

多くの農民画を描いたミレーとは対照的に、ルソーはフォンテーヌブローの森などを題材にした多くの風景画を描きました。若いころから自然への関心が高かったルソーは20歳前後に風景画でサロンに初入選します。このことが歴史画に重きをおく古典派の画家たちの反感を買い、ルソーの作品には中傷が浴びせられ、そこから十数年ルソーの作品がサロンに入選することはできなかったのです。

“落選王”と揶揄されたルソーでしたが、画家としての志が変わることはなく純粋な風景画を描き続けます。1848年から起こった2月革命を経てサロンの審査方法も変革され、ルソーは1849年にサロンで金メダルを受賞し、正統派の画家として名声を得たのです。

光の表現がたぐいまれな画家と言われるように、様々な時間帯での樹林の光の風景を作品に残しています。フォンテーヌブローの森を描いた代表作に「アプルモンの樫」や「フォンテーヌブローの森のはずれ」などがあります。

コローが描いたバルビゾン見出し

コローは“最後の古典派にして最初の近代画家”と呼ばれ、後世の画家たちに多くの影響を与えた作品を残している画家です。コローの代表作は風景画だけでなく、人物画や宗教画など様々な作品があります。コローの風景画の制作方法は、春・夏の間に戸外で写生をして、秋・冬の間にアトリエで仕上げるという方法だったようです。

バルビゾン派を魅了したフォンテーヌブローの森見出し

バルビゾン派の画家たちを魅了したフォンテーヌブローの森は、パリ郊外のフォンテーヌブローの町の周囲を約1万7000haの面積で広がっています。フォンテーヌブローとは“美しい泉”という意味になります。元々王室の狩猟場になっていた森は、現在でも美しい風景が残っており、当時の画家たちが感銘を受けた景色を楽しむことができます。

また、バルビゾン村からフォンテーヌブローの森に入った所にある岩には、ミレーとルソーを象ったモニュメントがはめ込まれており、この美しい森を守るために画家たちが残した絵が大きく影響していたのではないかと思わせてくれます。沢山の巨岩が転がっているフォンテーヌブローの森はクライミングのメッカとしても有名で、100年以上も前から登山のトレーニング場としてもこの岩場が利用されていたようです。

歴史を感じにバルビゾンへ見出し

現在、観光地化が進んだバルビゾンですが、当時の街並みが残る部分があったり、今でも多くの画家がバルビゾンやフォンテーヌブローの森で絵を書いたりと、バルビゾンには当時と変わらない景色や想いが残っています。バルビゾン派の絵の背景を知りながら村や森を探索すると、当時にタイムスリップしたような気持ちになれるかもしれません。フランス旅行に行く際にはバルビゾンまで足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

投稿日: 2017年8月25日最終更新日: 2020年10月7日

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