モンパルナスってどんなとこ!?
セーヌ川左岸は14区と6区に位置するモンパルナス。現在はパリを見渡せる展望台があるタワーや国鉄も通るターミナル駅等近代的な盛り上がりが顕著なモンパルナスですが、20世紀前半は今は墓地に眠る世界中の芸術家達が集まった都として名を馳せました。そんなユニークな街の歴史とおすすめの観光スポットをご紹介します。
モンパルナスの名前の由来は!?
モンパルナスの"モン"はフランス語で山や丘を意味し、"パルナス"はギリシャ神話の「パルナッソス山」(文芸の女神が住んだとされる山)から名付けられたと考えられています。17世紀頃パリの南側はまだ丘が多く、神学生達が集まって詩の朗読会等が行われ、ギリシャ詩文の聖地にちなんでそう呼ばれるようになりました。
Le théâtre Montparnasse et ses habitués à la fin du XIXe siècle. #ParisAvant pic.twitter.com/2UMoFwAP60
— Paris ZigZag (@ParisZigZag) August 14, 2017
文学・芸術に敏感な若者達に愛された丘、モンパルナスも18世紀に入るとモンパルナス大通り建設のため削られ平らな土地となります。丘のなくなった後もモンパルナスと呼ばれ親しまれ、1910年代には多くの芸術家や作家が世界中から集まるようになります。徐々に芸術の聖地として神格化されその名が世界に知られることとなります。
芸術家に愛された街モンパルナス
20世紀前半は右岸のモンマルトルも芸術家が多く住む地域でしたが、観光地化や高級住宅地となるにつれ多くの画家や作家が家賃の安いモンパルナスへ移ってきました。かの有名なパブロ・ピカソもその1人で、日本人画家の藤田嗣治も1913年にパリで最初に滞在したのがモンパルナスでした。
1920年代には第一次世界大戦後好景気となったアメリカからも、モンパルナスの芸術文化を求めて大量に移住してきます。作家のアーネスト・ヘミングウェイをはじめとしたアメリカ人作家達もモンパルナスへ移ってきた時期で、近隣のカフェでは後に著名となる若き芸術家たちが熱い芸術論議を交わしていたと伝えられています。
偉人達が通ったモンパルナスの4大老舗カフェ
#25ansブログ パリのおすすめカフェ:fr: Le Dome Montparnasse https://t.co/y8el0xL1VI
— 25ans(ヴァンサンカン) (@25ans_jp) August 10, 2017
モンパルナスのカフェやバーは情熱に溢れた芸術家達が待ち合わせ場所や溜まり場として利用するだけでなく、互いに鼓舞したり創造性を高めあった場所でもありました。1897年の創業から120年間営業しているのが「Le Dôme」。多くのナイトスポットが点在したヴァヴァン駅周辺を代表する老舗カフェの一つです。
住所: 108 boulevard du Montparnasse, 75014 Paris, France 電話番号: +33 1 43 35 25 81
「La Rotonde」も1903年からモンパルナスの昔と今を見守り続けてきたカフェの一つです。貧しい芸術家達の憩いの場として栄えた時期は、経営者の粋な計らいで、飲食代の代わりに彼らの素描の絵を受け取ることがあったそうです。今でもカフェの壁にはのちに売れっ子となった画家達の絵が飾られています。
住所: 105 Boulevard du Montparnasse, 75006 Paris, France 電話番号: +33 1 43 26 48 26
1923年創業の「Le Select」も当時のモンパルナスを象徴するカフェの一つです。当時の常連客には藤田嗣治、ピカソ、マティスなどの画家をはじめ、アメリカ人作家のアーネスト・ヘミングウェイやスコット・フィッツジェラルドにも贔屓にしていたと言われています。ヘミングウェイの処女作『日はまた昇る』にも登場するカフェです。
住所: 99 Boulevard du Montparnasse, 75006 Paris 電話番号: +33 1 45 48 38 24
創業は1927年で4大カフェの中では新しい「La Coupole」。ピカソ、サルバドール・ダリ、ジャン・コクトーなどが通っていたことで知られ、おしゃれな店内には当時常連だった著名人の写真が飾ってあります。評判の海鮮料理を頂きながら、20世紀初頭の偉人達に思いを馳せるには最適のお店です。
住所: 102 Boulevard du Montparnasse, 75014 Paris 電話番号: +33 1 43 20 14 20
「パリ狂乱の時代」のモンパルナス
第一次世界大戦後アメリカに端を発した狂騒の20年代は、ここフランスでも「レ・ザネ・フォル」と呼ばれ享楽的な都市文化が急速に発展しました。戦後の開放感と好景気に包まれたモンパルナスはまさにそんな時代を象徴する場所として毎夜乱痴気騒ぎのパーティが繰り広げられたことで知られています。
毎日が華やかな祝祭のようだったモンパルナスの繁栄も、1929年の世界恐慌をもって終息に向かいます。1930年に美術市場が大暴落してから、芸術家の多くはアメリカやアジアへ進出、パリの芸術家コミュニティもサンジェルマン・デ・プレへ拠点を移すようになりました。こうしてモンパルナスの絶頂期は幕を閉じることになります。
モンパルナスの今:パリ有数のターミナル駅
Gare Montparnasse : la panne localisée, trafic encore perturbéhttps://t.co/T2jPitLbxA pic.twitter.com/cpXE5EAp3i
— Vanni A. (@AnarcoNingia) August 13, 2017
パリの文化的中心地としての役割を終え約90年が経った今、モンパルナスは交通の要所としてパリ市民のみならずフランス国民が立ち寄る地となっています。フランス国鉄(SNCF)の鉄道駅であるモンパルナス駅にはフランス西部のレンヌやナント、ボルドーへの列車が発着。メトロのモンパルナス=ビヤンヴニュ駅とも乗り換えが可能です。
#TGV8085 et #TGV8615 à destination de St Malo et Brest départ 11h56 de Paris Montparnasse V4 :wink: pic.twitter.com/NZWmGliJSh
— Korrigan (@korrigan22) August 14, 2017
モンパルナス駅にも乗り入れのあるフランスの新幹線TGVですが、ブルターニュ地方への路線が2017年5月より線路刷新で速度UP!モンサンミッシェルの最寄り駅レンヌまでは最短1時間27分で往き来できるようになりました。西部へのアクセスが格段と楽になったのでフランス国民のみならず観光客にも嬉しいニュースです!
パリを一望するなら絶対ココ!モンパルナスタワー展望台
モンパルナス駅を出るとすぐに見えるのがモンパルナスタワーです。高さ210mを誇るタワーはパリのランドマークとして欠かせない観光スポット。おすすめは最上階にある展望台でエッフェル塔、ルーヴル美術館、ノートルダム大聖堂等、パリの街並みを一望出来ます。360℃のパノラマビューは素敵な観光の思い出となること間違いなしです。
モンパルナスタワーの展望台からは、時間帯によって見せる表情が異なるパリの景色も楽しんでいただけます。爽やかな日中の風景と、ロマンチックにライトアップされた夜と、両方ご覧になりたい方には通常チケット17€で夕暮れ時の入場がおすすめですが、48時間以内であれば2度入場出来るチケットも23€で販売されています。
住所: 33 avenue du Maine 75015 Paris, France 電話番号: +33 (0)1 45 38 52 56
著名人が多く眠るモンパルナス墓地
モンパルナスタワーの展望台を楽しんだ後はすぐ近くにあるモンパルナス墓地へ訪れるのがおすすめです。1824年に設置された墓地で、パリに複数ある墓地の中でも各界の著名人が多く眠っていることで大変有名です。展望台からも真下に見えるこの墓地はおよそ19ヘクタールの広さがあり、ユニークな墓石や銅像が並んでいます。
Another from that recent detour through Montparnasse Cemetery. #graveyard_dead #cemeterylovers https://t.co/J7cR2JPAeD pic.twitter.com/141uEY4p9P
— Stuart Updegrave (@supdegrave) August 14, 2017
ジャン=ポール・サルトルとシモーヌ・ド・ボーヴォワールが隣合わせで埋葬されている他、多くの詩人、作家、哲学者、作曲家、画家、俳優等あらゆるアーティストが眠っています。モンパルナス駅から約300mほどの距離にありますが、駅前の喧騒を全く感じさせないほど静かで緑も豊かですので、散策にもおすすめです。
住所: 3 Boulevard Edgar Quinet, 75014 Paris
モンパルナスから徒歩圏内のおすすめ観光名所
パリで最も美しいとうたわれるリュクサンブール公園も、モンパルナスタワーの展望台からすぐ下に見える近隣のおすすめ観光スポットです。その広大な土地と、訪れた者の心を癒す木花や銅像が並ぶ光景はまるで中世にタイムスリップしたかのような印象を与えてくれます。モンパルナス駅から徒歩10分ほどの距離にあります。
リュクサンブール公園から少し北へ歩くとサン=ジェルマン=デ=プレ教会が見えてきます。この界隈は1930年代にモンパルナスの芸術家達が拠点を移した場所になります。多くの知識人、芸術家が集まって我が家のように出入りしていたと言われるかの有名な「カフェ・ド・フロール」もあります。
パリに来たらモンパルナスにも寄ってみよう!
Classic Paris! #paris #france #tourmontparnasse #montparnasse #invalides #sunset #eiffeltower #toureiffel #sonya7r… https://t.co/bv0Dq0Sa3m pic.twitter.com/iVfza7hY94
— J-M Hernandez (@JMH_Violist) August 12, 2017
パリの芸術文化を支えた20世紀初めから、その熱狂が過ぎた今のモンパルナスの姿まで駆け足で追ってきましたが、いかがだったでしょうか?パリへ来られた際には是非、モンパルナスへも足を運んで今回ご紹介したスポットをチェックしてみて下さいね!きっと100年の歴史を実際に感じることが出来るはずです。
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